最新知見・論文などの紹介
2014 年8 月17 日付「政府広報」に対する批判
- 2014/09/15
政府は被ばく被害を過小評価せず被ばく回避に努めよ
2014 年8 月17 日付「政府広報」に対する批判
2014 年9 月15 日 上智大学12 号館203 教室
安倍晋三政権の復興庁、内閣官房、外務省、環境省は、2014 年8 月17 日、「放射
線についての正しい知識を。」と題する全面広告の政府広報を「読売」「朝日」「毎日」
「産経」「日経」各大手紙朝刊と、地方紙「福島民友」「福島民報」、「夕刊フジ」(18
日付)に出しました。内容はIAEA(国際原子力機関)保健部長レティ・キース・チ
ェム氏と東大医学部付属病院放射線科准教授中川恵一氏の講演概要です。
各紙発行部数から推測すると、およそ2400 万の読者の手元に届いたことでしょう。
ちなみに、今年度の政府広報予算は約39 億円です。3.11 以来、福島の子どもに甲状
腺がんとその疑いが100 人を超え人々の不安が全国的に広がるいま、この政府広報
は今日の科学研究の成果からみて見過ごせない誤りが多数見られ、人々に放射線被
ばくを強いるものです。そこで、中川氏の講演概要から六つの誤りを指摘します。
私たちは、今日の科学研究の成果と予防原則に則り、政府に対して、東電福島第
一原発事故(以下、福島原発事故)による放射能汚染と放射線被ばくによる健康被
害を軽視または隠蔽することを直ちにやめ、広域で綿密な健康調査と脱被ばく・被
ばく低減対策を喫緊の最重要事業として進めることを求めます。政府は、「放射線に
ついて正しい知識を。」の誤りを認め、市民が脱被ばくを語りにくい状況をつくる方
針を廃して被ばく低減対策を徹底し、市民の人格権を守ることに尽力するべきです。
もくじ
1.原爆被爆の遺伝的影響について ・・・・・・・・・・・・・(2)
2.鼻血問題について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
3.100 ミリシーベルト以下の発がんリスクについて ・・・・・(5)
4.外部被ばくと内部被ばくについて ・・・・・・・・・・・・(6)
5.甲状腺がんについて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
6.わずかな被ばくなのか ・・・・・・・・・・・・・・・・・(9)
まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(11)
別表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(12)
政府広報 中川准教授の講演概要(数字は本文と対応)・・・・・(13)